2023年へ向けたテクノロジー予測 - TIEN TZUO

Jayne Scuncio(2018年12月2日)Jayne Scuncio(2018年12月2日)

サブスクリプション、サービスベースのエコノミーへの移行は、今や世界中のあらゆる業種で急速に加速しています。2019年にはどこが敗者になり、どこが勝つかなどの予測が出始めていますが、Zuora CEO Tien Tzuoは、この大きな転換期の流れから、5年後の時代について予測します。

5年後GDPは時代遅れの指標に。 現在私たちが使用しているGDPの定義(現在の財務諸表の構造、損益計算書の売上の定義に非常に近い)は、過去の枠組みのため、 将来継続していく収益、リカーリング・レベニューの価値は考慮されていません。 国家のGDPにおいて1ドルは、この期間内での1ドル、今ここにある1ドルでしかありません。 しかしご存知のように、サブスクリプションエコノミーは、一定の期間ではなく、むしろ顧客生涯価値を何十年にもわたり継続させていくことを前提としています。 サブスクリプション企業にはあらゆる種類の将来期待できる収益がありますが、それらはGDPとして正式な形で認識されるものではありません。 アップグレードやバンドリングをその中に入れ込んでも、それらの売上はすぐに標準的なGDPメトリクス(評価指標)から外れてしまいます。 つまり何兆ドルもの経済活動が正しく定義されることも、分類されることもないままになってしまうのです。

車の販売は減るが、自動車メーカーは継続して成長。 現在、ほとんどの大手自動車メーカーは自社を単なる自動車メーカーではなく、”モビリティソリューション”企業として位置づけようとしています。 自動運転の波が到来していることを理解しているからです。 また将来的には自動車群全体をシステムとして管理するビジネスが増え、車を販売するビジネスは減ることも理解しています。 一方で、新しいライドシェアリング・サービスや、新たな関連デジタルサービスには欠かせない車両を作っているのは自分たちであることも理解しています。 さらに、真の「Mobility as a Service(MaaS)」は、車を走らせることではなく、あらゆる種類の移動手段を活用することであることも認識しており、 そこに大きな機会を見出しています。 車は今後「所有」するものでなく、移動手段としてサブスクリプションで「利用」するものになるでしょう。

ショッピングモールは第二の人生を享受。 小売業の終末論についてはこれまでも広く誇張されてきました。 ComputerworldのコラムニストであるMike Elgan氏はこの状況を次のようにうまく表現しています。「結論としては、『小売業の終末』などというものは存在しないということです。 『小売業の終末』は、「オンライン」と「リアル店舗」を二分する古い考え方をベースにしています。 しかし真の境界線は、顧客との継続的な関係を構築し、データに基づいて、デジタル・リアル体験を提供する柔軟性の高い、オムニチャネル小売業と、旧式で融通の利かない小売業との間にあるのです」。 もともとオンライン販売のみだったブランドが世界各国でリアル店舗を次々と立ち上げおり、国内でもその光景がいたるところで見られます。そこに機会を見出し、ショッピングモールは、一部を美術館にしたり、エンターテインメント施設を備えたり、ショールームを設置したり、アルコールが飲めるコミュニティスペースを設けたりするようになるでしょう。 彼らは、アクセスの良さや、人が集まる場、他では得られない体験などの価値に投資することで、人々の往来、エンターテインメントの価値、食事、そして店舗販売によるディズニーパークの「弾み車式」成長モデルを実現できることを理解しています。

大手銀行はネットフリックス化。 金融業界は長きにわたり消費者の惰性に乗じて成長することができました。 古いタイプのTVネットワークのように、銀行は最低限の共通点をベースに、完全に定型化した顧客体験を提供してきました。 一方、フィンテックによるスマートでフレンドリーな選択肢は、金融業界のネットフリックス(パーソナル化やガイド付きディスカバリなど)さながらに新しい波となり、資産を銀行口座にただ寝かせておく必要などないという事実を人々に気づかせつつあります。 人々は、よりスマートに資産管理ができ、より簡単に支払いができ、よりうまく資産計画を立てられる新しい金融サービスを探しています。フィンテックのプラットフォームにより、金融業界の力の集中は分散しつつあります。この場合の負け組は、「なかなか簡単には満足しない」新しい顧客層のことを理解しようとしない企業ということになるでしょう。

Patreonモデルがコンテンツ業界へ拡大。 ポップスター、大ヒット映画、ベストセラーなど、マスメディアは今後も常に存在します。 しかしPatreonのように寄付をサブスクリプションで集めるプラットフォームを主な収入源とするクリエイターのコンテンツが、今後は広くカルチャーの主力になっていくでしょう。 彼らはリカーリングレベニューという安定的な基盤に支えられ、メディアの新しい黄金の時代に、スマートで妥協なきアートを創作し続けられるため、瞬間的に華やかなYouTubeスターとは異なり、長きにわたり熱心なファンから支援を受けられるはずです。 最近のFilmStruckもこのモデルを検討すべきでした - 見過ごされてきたコンテンツや、キャンセルになった特別なコンテンツなども提供できたかもしれません。

AIにより「所有」時代の終焉が加速。 私たちは今や当たり前のようにNetflixやSpotifyのサブスクリプションサービスを「利用」して映画や音楽を楽しみます。今後はモノを「所有」することはなくなり、サブスクリプションサービスを「利用」することになるでしょう。 AIプラットフォームは、世界中のあらゆる製品を、つながり合う「スマート」製品に変えつつあります。 現在このトレンドは、車、スクーター、洗濯機、コーヒーメーカー、サーモスタットなど、輸送や家電において見ることができます。 しかし間もなく、テーブルや椅子、床、壁、衣類といった、あらゆるものにこのトレンドは波及していくことになるでしょう。 その結果、私たちはモノを所有する必要がなくなります。住居サービス、食料サービス、輸送サービス、家具サービス、衣類サービスなど、単純にサービスを利用すればよくなります。 そうして私たちは「所有」から顧客が求める価値を提供するサービスを「利用する」、真の「サブスクリプションエコノミー」時代を生きることになるでしょう。

製品がサービスへ移行する中、ますます多くの消費者家電(ゲーム機やウェアラブル端末など)が「無料」に。 これはやや議論を呼ぶ予測です。現在デジタルサービスは、ハード機器などの付加価値として市場に提供されていますが、最終的にはそのデジタルサービスこそが製品そのものになってしまうという予測だからです。より多くのメーカーは、代わりに、ハードを無料で提供することに乗り出しつつあります。 私たちは常に優れたデザインのハード製品を必要とするでしょうが、本当の価値は、顧客との関係を強化していけるデジタル体験となるでしょう。 今やXboxは、サブスクリプションについてはコンソールを無料で提供しています。今はまだその創世記にすぎませんが、物事は急速に変化しています。

4年制大学は40年制大学に。大学で学んだことを皆さんはどれだけ覚えていますか?たった4年間の学期末レポートとパーティーのために何十年も奨学金を返済し続ける。この選択肢は、だんだんとすたれ始めています。手ごろな学費のオンライン学習プログラムが4年制大学の対抗として存在感を増しつつあるなか、4年制大学でもその多くが、差別化の一環としてこうしたプラットフォームを取り入れることになるでしょう。記憶の彼方へと消えがちな4年間の授業を提供する代わりに、大学の多くは、卒業生がその後のキャリア全体を通して常に知識と競争力を身に着けられるよう、最新の専門的学習プラットフォームへ40年間アクセスできるサービスを提供し始めることになるでしょう。