OTTビデオの提供開始におけるチェックリスト

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調査会社のDigital TV Researchが新たに発表した予測によれば、世界のOver the Top(OTT)ビデオの収益は2020年に510億ドルに達するということです。この数値は、2015年の予測(260億ドル)の2倍に迫っています。OTTビデオはすっかり定着し、今後はおそらく先駆者たちが市場シェアを掴み取ることになるでしょう。しかし、この革新的な業界を征する方法については、はっきりしていないようです。企業はこの業界に参入しようと躍起になっていますが、ここでは、考慮すべき必須事項を取り上げていきます。

1) 焦点はトランザクションか、それともリレーションシップか?

ここ数年にあらゆる形式のメディアで見られる大きな変化は、広告主ではなくサブスクライバー(加入者)が最重要顧客になっていることです。OTTビデオは、リレーションシップによって支配される、完全無欠のサブスクリプションエコノミーです。一度のトランザクションで、販売して終わりという思考方法では、OTTビデオへの備えはできていません。

この革新的な業界で成功するには、長距離を走る準備をする必要があります。一人ひとりの顧客とのリレーションシップの土台を築き、それを育み、成長させるのです。そう、顧客一人ひとりが大切です。現在は過去に例を見ないほど、サブスクライバーとのリレーションシップの統一的な視点を段階的に作り上げ、このリレーションシップの情報を利用して、顧客ベースに対して創造的な付加価値サービスを提供し、そのリレーションシップを強化する機会に恵まれています。

2) デジタルエクスペリエンスは店舗のレジか、Genius Barサービスカウンターか?

顧客の期待はあらゆる分野で膨れ上がっていますが、おそらくエンターテイメント業界ほどその期待が大きい分野はないでしょう。もし今でも、無機質なデジタル版レジのようなエクスペリエンスを提供しているのであれば、カスタマーロイヤルティも新規顧客の獲得も期待しないでください。人々はすぐに心から満足したいと思っていて、1歩目から大きな価値を求めています。コマースシステムでは、顧客がWeb上で、あるいはタブレットやモバイルを使って自分のアカウントをセルフサービスで作成し管理できる機能を提供する必要があります。顧客とのすべての接点で、一貫した快適なデジタルエクスペリエンスを提供するようにしましょう。

また、真の意味でデジタルウォレットへの請求ができているか、確認してください。購入前に、顧客に対してデータフィールドへの入力をいくつ求めていますか?顧客が手軽に支払えるようにする必要があります。これは頭を使わなくてもできることですが、驚くべきことに、多くの企業がこの点を見過ごし、顧客を失っています。

3) モバイルやテレビ、あるいはIoT冷蔵庫でも、シングルサインオンをサポートできるようになっているか?

OTTビデオの主なセールスポイントの1つは、デバイスによらないことです。これはプレミアムオプションではなく、最初からサービスに期待されることです。サブスクライバーに対して、すべてのデバイスと帯域幅でシームレスなエクスペリエンスを提供できる状態ですか?これには、ただ表示できるだけでなく、複数の画面やデバイスにわたってリアルタイムに顧客対応し、サブスクライバーのステータス、デバイスを分析し、アクティビティを表示して事前に問題のトラブルシューティングを行うことも含まれます。

また、既存の枠にとらわれずに考えましょう。規模を拡大して、他のコネクテッドデバイスともスムーズに連携できるでしょうか?OTTビデオサービスは、IoTやコネクテッドホームを避けて通れません。そして、それが顧客の意思決定における重要な要因となるのです。

OTTビデオの成功の秘訣

OTTビデオのサブスクリプションの構築と規模拡大の原則について解説します。(英語版)

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4) 焦点は幸せを感じるエクスペリエンスか、それともコールセンターの効率性か?

ミスは必ず起こり、技術的な問題もいつかは発生します。ほとんどのサブスクライバーがそれを理解しています。問題になるのは、対応の仕方です。コールセンターで工場のような効率性を求めている、あるいは問題と解決策を関連付けるアプローチをとっている場合は、これから坂を下るばかりです。

なぜ従来のケーブルテレビからOTTビデオへと切り替えられているのかを、もう一度考えましょう。それは、従来のケーブル業界が何年にもわたってサービスをほぼ提供しなかったことに、ユーザーが不満を抱いたからです。OTTは視聴者に対して、従来のテレビとは別物であると約束してきました。顧客は、トラブルシューティングを含むあらゆる接点でその違いを感じたいと思っています。ただ1つの問題を解決するだけでなく、すべてのチャネルにわたって、より広大なカスタマーエクスペリエンスを描くようにしましょう。

5) 自社のビリングシステムをインボイスの印刷機と見るか、個人向けメッセージサービスと見るか?

月次請求書や領収書はかつてないほど重要になっています。印刷された請求書を郵便で送付するというやり方から進化し、OTTビデオのビジネスと顧客の間における最も重要なデジタルコミュニケーションの手段となりました。

請求書を、毎月発行される単純な取引書として扱っているのであれば、顧客とのリレーションシップを築き上げる大きな機会を失っていることになります。ブランド性のあるエクスペリエンスを構築し、リレーションシップを育み、個人向けのメッセージを送る目的で、そしてお互いにとって特別な存在である理由を示すリマインダーとして、請求書を利用してください。ブランドを拡散し、独自の接点として利用しましょう。

デジタル空間で顧客の注目を得ようと競争を行う環境では、OTTビデオサービスが、魅力的で記憶に残る顧客に合ったメッセージを送ることは極めて重要です。財務取引を中心とした単純な領収書だけでは足りません。

6) データが未接続のままか、それとも大量のデータにも対処できるか?

ビッグデータは気が遠くなる相手ですが、ビジネスにとって最大のゲームチェンジャーになる可能性もあります。収集しているデータはどのような種類のもので、ビジネスにとってどのような効果があるか、自問してみましょう。そのデータは、真の意味で顧客を知るための役に立つでしょうか?取引のデータやトレンドを分析していますか?クリックストリームデータを利用して、エクスペリエンスをユーザーに合わせて変更していますか?解約しそうな顧客を予測できますか?データによって、アップセルやクロスセルの機会を特定できますか?

OTTビデオ業界で成功するためには、ビッグデータの力を活用する必要があります。データに依存しないことは選択肢にもなりません。OTTビデオでの成功を収めるには、マーケティング、コマース、ユーザーエクスペリエンスにおいて、実行に移すことのできる強力なデータを活用して、顧客維持率を高め、サブスクライバー数を増やす必要があります。

OTTビデオ業界のブループリント

OTTビデオの導入は、インフラストラクチャやビジネスプロセスと大きく関係しています。このブループリントでは、サブスクライバー中心型OTTビデオプラットフォームのベストプラクティスを取り上げています。(英語版)

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7) 焦点は視聴者個人か、世帯全体か?

ビデオのサブスクリプションやパッケージは、万能型ではありません。視聴傾向に合った適切なパッケージを提供することで、サブスクライバーの要求に応える必要があります。顧客は本来、全体のラインアップから自分のニーズに最も合うものを選択して安心できるように、さまざまな製品や価格プランを提供されることを期待します。そのため、コマースシステムでは、多数の製品設定をサポートし、新しいプランを思い付いたときにはすぐに実験でき、市場や競合他社の状況変化に合わせて動的に変更できる必要があります。

すべての視聴者が大切な存在です。たとえ直接の購買客でなくてもそうです。提供するプランは、個人だけでなく、世帯や企業に合わせて調整できるものである必要があります。メディア/エンターテイメントは、子供からお年寄りまで、世代を超えてすべての人に利用されます。購買者であるアカウント所有者が親世代でありサービスに満足していても、十代の息子は違うものを求めているかもしれません(別のデバイスでのアクセス、よりニッチなコンテンツなど)。直接の購買者ではない視聴者のエクスペリエンスも無視は出来ません。それは、最終的にそれらの視聴者が顧客全体に強い影響力を持つ可能性があり、最も声の大きいユーザー、あるいはインフルエンサーとなる可能性があるからです。

8) 会計チームは開発チームと同じくらいクリエティブに物事を考えることができるか?

サブスクリプションは全社的な改革をもたらしますが、その影響を最もよく受けるのは会計チームです。サブスクリプションの複雑な数値を理解できるチームは存在しますか?それとも、まだ追いつくのに必死な状態でしょうか?カスタムレポートを作成できますか?主要メトリクス(評価指標)をすぐに確認できますか?外部のレポート作成システムやデータウェアハウスシステム向けに、構成可能な抽出データを作成していますか?解約率を最小限に抑え、長期的な顧客維持率を高めるにはどうすればいいですか?クレジットカードのリトライ、チャージバック、データ保管の戦略はどうなっていますか?これらは、OTTビデオサービスの構築に備える際によく考えるべき事柄のほんの一部に過ぎません。

いくつかは、まったく新しいビジネスのやり方につながる可能性があります。つまり、チームに新しいアプローチを根付かせ、適切なツールを用意することになります。しかし、真の意味でサブスクライバーを「所有している」見込み顧客は、請求と財務の担当者です。彼らの行動を堅牢かつ意味のある方法で理解することで、最終的に大きな見返りが得られます。

9) OTTビデオだけを考えているか、 他のOTTサブスクリプションサービスまで考えているか?

OTTビデオは極めるまでに多くの労力が必要ですが、単独で考えることはできないものです。他他の業界でも、同じような、あるいは似たような転換が起きています。コネクテッドホームやコネクテッドカーなども、もはやサイエンスフィクションの映画のものではありません。これらはすでに日常生活に入り込んでおり、まもなく広く浸透しようとしています。

メディア業界はまだそのことを知らないようですが、この転換から大きな利益を得られる立場にあります。なぜなら、今後、まったく新しいIPサービス(ホームオートメーション、IoT、医療)を開発できる立場にあるからです。汎用のOTTインフラストラクチャはこれらの新しいIPサービスとも調和するものでなければなりません。すべてが一切標準化されていない新生の業界ですが、それでも収束に向かう定めにあります。

OTTビデオ2.0戦略の導入の詳細については、「サブスクライバー中心型OTTビデオビジネスのブループリント」(英語版)をダウンロードしてご覧ください。このブループリントでは、Zuoraが主要メディア企業への支援によって辿り着いたベストプラクティスに基づいて、サブスクライバー中心型OTTビデオ2.0プラットフォームの開発や移行の際に検討すべき主な5つの領域について解説しています。

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