企業はサブスクリプションに移行:PTCの事例から学ぶ4つの知恵

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PTC(Parametric Technology Corporation)は、米国マサチューセッツ州ボストンの外部に事務所を置くコンピューターソフトウェア/サービス会社です。1985年に創立し、産業用製造業界、特にコネクテッドデバイスの関連分野向けに、幅広いCADおよび設計プログラムを開発しています。PTCの顧客は、航空機の設計、ビルのプランニング、スニーカーの製造、ツールの作成、新しい医療用診断技術の開発など、幅広い業界にわたっています。

数年前、PTCは独自の調査分析によって、顧客の90%以上がサブスクリプションベースの価格設定を求めていることがわかりました。そのため、永久ライセンスからクラウドベースのサブスクリプションへとビジネスモデルを大規模かつ体系的に転換することにしました。昨年11月、同社は3つの戦略的な責務を発表しました。それは、長期的な株主価値を最大化すること、利益を拡大すること、そしてサブスクリプション・ビジネスモデルへ転換することです。

これまでのところ、この3つとも順調です。PTCによる前回の一般投資家向け会見によれば、2016年度のZuoraサブスクリプション管理プラットフォームの導入後、顧客のサブスクリプション採用率は四半期ごとに加速的に増加し、目標をはるかに上回りました。現在のペースを基準とすれば、サブスクリプション採用率は2017年度に65%、2018年度には85%に達し、最終的には、2021年度にソフトウェアの収益の約95%が完全なリカーリングベースになると予測しています。

PTCのサブスクリプションのACV(年間契約価値)についての数値も同様に印象的です。2016年度の初めの指針では4,300万ドルとされていましたが、これまでに、元々の目標の約3倍にあたる1億1,400万ドルに達しました。また、元々のサブスクリプション比率の目標は25%でしたが、実際の顧客の採用率は56%となり、目標の2倍を実現しました。IDCが、サブスクリプションベースのSaaSデリバリモデルが従来のソフトウェア製品デリバリを大きく上回るペースで成長すると予測しているのも不思議ではありません。この予測によれば、2018年までに、サブスクリプションベースのSaaSデリバリモデルはソフトウェア市場全体の5倍近くの速さで成長し、ソフトウェアに対する5ドルのコストのうち1ドルを占めるようになるということです。

Adobeがサブスクリプションモデルへの移行に成功したことは、これまでに多数の記事で取り上げられていますが、PTCは、クラウドベースのリカーリングレベニュー(継続収益)モデルに移行する大企業に対する、次のイメージキャラクターになろうとしています。PTCの公開講演で、サブスクリプションに移行する大企業についての、4つの主なメリットについて語られています。その4つとは、柔軟性とスケーラビリティ、少ない初期費用と予測可能な予算設定、新機能や製品バンドルの迅速な提供開始、クラウドベースのIT環境に伴うアジリティです。

この4つの分野について詳細を見ていきましょう。

 

 

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柔軟性とスケーラビリティ

ビジネスの成長は一定ではありません。市場開拓戦略が予想とはまったく異なる結果となり、再評価、再度の優先順位付け、再編成が必要になる場合もあります。顧客のニーズは常に変化しています。ビジネスモデルが流行の移り変わりに影響を受けないと考えるのは近視眼的です。

サブスクリプションによって、企業は特定のニーズにリアルタイムに合わせて、対応能力の規模を拡大することができます。ビジネスが成功していて、もっと多くの能力を担えるとわかった場合に、いつでもそれを実行に移すことができます。一方、引き受けた仕事が多すぎて、将来の潜在的なリスクが予測されると判断するなら、ただ規模を縮小すればよいのです。サブスクリプションベースのシステムはニーズに合わせて柔軟に対応できます。

ソフトウェア業界やエンジニアリング業界での永久ライセンスは、この種の柔軟性の面で理想とは程遠いものです。本当に必要としている機能が数個しかないときに、ありとあらゆる付加機能満載のプラチナパッケージの購入が必要となるべきではありません。

PTCは、現在の永久ライセンスの顧客に対して、以前のサポート費用割引を廃止することで、サブスクリプションへの移行を促しています。しかし、顧客を動機づける最たるものは、サブスクリプションモデルによって実現される自由、柔軟性、透明性であると、同社は気付きつつあります。「必要なものだけに支払いを」―これが、サービスモデルに対するサブスクリプションの根源にある考え方です。つまり、顧客の特定のニーズに応じて、柔軟かつスケーラブルに対応できるサービスです。

Beth Stackpole氏はPTCのブログで次のように記述しています。「ピーク時にはギアを上げ、減速時には元に戻すことのできるサブスクリプションソフトウェアを利用できることは、差別化し、競合製品と絶えずやりあうために、実際のアジリティを高めたい企業にとって大きな資産です」

少ない初期費用と予測可能な予算設定

永久ライセンスモデルでは、ソフトウェアおよび製品は、新しいアップデートが行われるたびに、全部を購入することになります。高い初期費用は中小企業には厳しく、この種の環境では予算の予測可能性が低くなります。サブスクリプションモデルを利用すれば、予算の予測可能性と透明性が大幅に向上します。

PTCは現在、ソリューションおよびテクノロジープラットフォームのポートフォリオ全体でサブスクリプション価格を提供しています。このシステムはすぐにデプロイでき、ハードウェアやオペレーティングシステムは不要で、セキュリティが高く、しかも資本予算ではなく運営予算を利用して低コストを維持することができます。

PTCの顧客は使用量に応じた支払いを行い、必要に応じて規模を追加します。特定のライセンスが不要になったら、更新する必要はありません。資金がソフトウェア購入コストによって失われることがないので、研究、開発、製造に向けた再投資の余力が増えます。

サブスクリプションベースのサービスにより、真の意味で時間とリソースがいかに重要であるかを再認識させられます。完成した航空機を販売するのではなく、顧客企業が必要とする飛行機を作るための構成部品を提供するのです。

Al Dean氏はPTCのブログで次のように記述しています。「ポイントは、キャッシュフローが、最も必要とされるそのときに、ソフトウェア購入コストによって使い果たされることがないということです。そのような財務の余力を、必要とされるそのときに、他の研究、開発、製造の業務に投じることができます」

顧客ごとの新機能、製品、バンドルの提供を開始できること

前述のとおり、PTCはIoTおよびコネクテッドデバイス界で広く名の知られた業界リーダーです。コネクテッドデバイスでは事実上、ある種の継続的なサブスクリプションベースのリレーションシップが不可欠になります。リモートセンサーを備える製品では、物理環境とデジタルネットワーク間の直接的な通信が可能になるからです。

PTCの顧客は現在、自社製品の効率性、正確性、および経済的利益について、リアルタイムで分析できます。アップデートが発生したときには、すぐにアクセスできます。PTCはその見返りとして、顧客によるサービスの利用状況を観察し、必要な調整を行うことで、継続的な成功と顧客維持を確実なものにしています。PTCの顧客ベースは今や同社の研究開発部門の代わりとなっています。同社は、すぐに、かつ継続的に得られるフィードバックに基づいて、新しい製品やバンドルを早急に繰り返し提供することができます。

PTCは、現代の顧客が自社に合わせたリアルタイムのサービスを求めていると理解しています。しかも、スケーラブルで、すぐにアップデートでき、ハードウェアやライセンスという必要な負担のないサービスです。このようなサービスは、B2B企業にもB2C企業にも共通する、顧客の必須事項です。これらが、現代のゲームにおける新しいチップとなります。

PTCのBeth Stackpole氏は次のように述べています。「モバイルに対応したアプリを中心に生きる現代の消費者は、必要なときに必要な場所で、当たり前のようにソフトウェアツールをダウンロードしています。その際に、複雑なライセンス使用条件や不便な保守契約について考えることはありません。プライベートで、流行中の新しいソフトウェア機能に切り替えることが便利だと感じている人たちが、仕事用のソフトウェアを購入する際にも、同じようにシームレスな従量制のエクスペリエンスに期待するのも無理はありません」

 

クラウドのITアジリティ

クラウドへの移行によって、PTCはアプリケーションコストを急速に削減して、その削減分をビジネスに再投資することができました。同社のセキュアなクラウドベース技術インフラストラクチャでは、煩わしいプラットフォーム管理をなくして、各個人の仕事により集中できるようになりました。

クラウドベースのIT環境への移行によって、企業のワークロード全体がシンプルになります。業務の中断が少なくなるため、より多くのエンジニアが、自社製のビリングソリューションではなく、製品に集中して取り組めるようになります。クラウド自体もスケーラブルであり、サブスクリプションベースモデル全体に完璧にフィットします。

Al Dean氏は次のように述べています。「[サブスクリプションライセンスによって、]有能な仲間がモニターの裏側に居てソフトウェアを動かすかのように、ソフトウェアリソースを管理できます。つまり、需要のピーク時にはユーザー数を追加して使用することができます。言うまでもなく、ピークが過ぎれば、月間、四半期、あるいは年間のコストからその分を除去できます」

現在のPTCの顧客は、低い管理コスト、PTCソリューションの専門家によって最適化された環境、およびビジネスイニシアティブにさらに早く対応できるというメリットを享受しています。さらに、ソフトウェアのアップグレードは自動で、シームレスに行われます。そのため、次のリビジョンに向けて予算を確保することも、資金を節約するためにいくつかのバージョンをスキップすることも、もう必要ありません。

 

 

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