“「ローンチ段階では、前進するための補助輪が付いたインフラがあると役立ちます、その時点で完璧なフェラーリである必要はありません」— XaaS(「Everything as a Service」)担当ディレクター Mailin Jappe氏

Company:
Acer
Industry:
Hardware / IOT
The Customer

1976年に創業したAcer社は、世界160か国以上で事業を展開する世界トップクラスの情報通信企業で、業界や変化し続けるライフスタイルに合わせて進化してきました。現在では、ハードウェアやソフトウェア、サービスが融合可能な世界の構築にフォーカスし、エコシステムを提供して、消費者と企業のための可能性を拓いています。

The Challenge

競合他社との差別化を図るため、Acerは物販中心のビジネスを、よりインタラクティブで関係ベースのビジネス、つまり「サービスとしてのハードウェア(hardware-as-a-service)」で補完する必要があり、新しい収益化戦略やカスタマーエクスペリエンスを素早く実験・テストするための方法を必要としていました

The Solution

Acer社の新しいdevice-as-a-service(サービスとしてのデバイス:DaaS)ソリューションには、最先端のハードウェア、生産性を向上させるソフトウェアパッケージ、安全に共有できるクラウドストレージソリューション、および受賞歴のある自社サポートが透明性の高いサブスクリプションモデルに基づき提供されます。15分以内に登録した新規サブスクライバーは、1週間以内にソリューションを受け取ることができます。また、契約期間中であれば、ワンクリックでいつでもサービスの追加やパッケージのアップグレードが可能です。

The Benefits

Acerは再販業者やエンドユーザーに対してさまざまなサービスを試供し、フィードバックを即座に受け取ることで、機能している部分と​​機能していない部分​​を探ってきました。迅速なテストと予測されたリスクへの対処により、同社は市場への適合性を正確に判断し、新しいビジネスモデルの進化に対する自信を深めていました。

Acer社は、市場をリードするZuoraの技術力とサブスクリプションにおけるノウハウを活かし、Zuoraと連携して、新たなdevice-as-a-service(サービスとしてのデバイス:DaaS)ビジネスを立ち上げました。

20世紀後半から、パソコン(PC)は、テクノロジーの進化と共に日常生活における必需品へと変貌を遂げました。言い換えれば、PCは単なる日用品のひとつになりました。Acerのような高品質のメーカーであってもAcer、ハードウェアだけで差別化することは難しく、ほとんどの場合で価格が競争材料となっています。一方、利益率が極めて低ければ、すべての競合企業が共倒れとなるでしょう。

競争上の優位性を獲得するため、パソコンの操作体験の改善に集中する必要がありました。「私たちは、仕事にも、コミュニケーションにも、買い物にも、銀行の手続きにもパソコンを必要としています」と、XaaS(「Everything as a Service」)担当ディレクターであるMailin Jappe氏。「パソコンメーカーとして自問したのは『操作体験をお客様にとってよりよいものにするにはどうすべきか?』『パソコン本体以外で価値を付加するには何ができるか?』ということでした」”

NetflixのようなエンターテインメントやAdobeのようなソフトウェアのサブスクリプションにお客様は既に慣れていますが、サブスクリプションビジネスは、今あらゆる業界へ浸透しつつあります。これは、顧客ニーズがが、所有することよりも、利用することによって価値を見出す方向に進化しているためです。「PCを所有することなく、既存のハードウェアとソフトウェアを組み合わせて、1つのサービスパッケージにし、定額の料金で提供するのはどうだろう?」 と、XaaS(「Everything as a Service」)担当ディレクターのMailin Jappe氏は問いかけます。. “お客様はPCの利点と機能をすべて手に入れ、また、更新や保守、ライフサイクルの終了に伴う廃棄の煩わしさもありません。

同社は市場をリードするテクノロジーとサブスクリプションにおける専門知識を活用し、新しいサービスとしてのデバイス(device-as-a-service) (DaaS)ビジネスを築くため、Zuoraをパートナーに選びました。この1年、Zuoraは同社が「 Journey to Usership(ユーザーシップへの旅)」という、あらゆる段階の企業がサブスクリプションエコノミーで成功するのを支援するZuoraの新しいフレームワークのローンチ段階に到達するのを支援してきました。「“F当社にとって、ビジネスをひっくり返し、変革を起こすことを意味します」と、Jappe氏は言います。「従来のビジネスモデルはデバイスをお客様に販売するという、実に単純明快なものでした。しかし、サービスとしてのデバイス(DaaS: device-as-a-service)カテゴリーに参入するにあたり、お客様との旧来的な考え方から、よりインタラクティブで関係性に基づく考え方へと移行しなければならないとわかっていました」

同社の新しい(DaaS)製品には、最先端のハードウェア、生産性を高めるソフトウェアスイート、安全かつ共有可能なクラウドストレージソリューション、透明性の高い月払いまたは四半期ごとの支払いで締結される単一の簡素化された契約の下で提供される受賞歴のあるサポートが含まれます。お客様は、選択したハードウェアに加えて、コスト効率の高いクラウドインフラを使用できるだけでなく、サービスプラン、契約期間、アクセサリなどのオプションをカスタマイズできます。 Acerでは、DaaSサブスクリプションビジネスモデルを導入することにより、より速く、より持続可能な成長がもたらされただけではなく、お客様との関係を強化し、忠誠心を高めることができました。.

この市場に迅速に参入することで、Acer社は次のような競争優位性を確立しました。

  • 顧客やパートナーのアーリーアダプターを最初に獲得し、ROIを向上させる。
  • 市場がまだ活況を呈していないうちに早い段階で実験し、最高のパートナーとの関係性を強化する

Acerのデザイン提供アプローチ

同社が行ったDaaSソリューションのテスト自体は他社でもよく見られましたが、中小企業をターゲットにするというアプローチは他に例がありませんでした。「当社は100%デジタルのカスタマージャーニーを実現し、それまでデジタル化を試す機会がなかった中小企業にソリューションを提供することができました」と、Jappe氏は言います。「他社では、500アカウントや1000アカウント以上のプランを提供していたので、当社では2アカウント以上から利用できるプランにしました」

提供する商品・サービスを構築するために、Acer社はあらゆる可能性を検討する必要がありました。持ち運びを前提としないデスクトップパソコンに焦点を当てるべきか、それとも移動中の作業を前提としているモバイルワーカーをターゲットとするか、それぞれの国やビジネスのやり方によって、どのように商品・サービスを変えていくべきかなど、「Zuoraを導入することで個別の商品・サービスを開発し、各要素に基づくテストを行うことができました」とJappe氏は語ります。「さまざまな商品・サービスをテストし、再販業者やエンドユーザーに提供することで、何が評価され、何が評価されないかに関するフィードバックを瞬時に得ることができます。」 

Acer社が導入したサブスクライバーエクスペリエンスアプローチ

Acer社は従来、ユーザーが4~5年所有することになる製品を出荷する形態の事業を営んでいました。これまでは製品のライフサイクルが終了するたびにマーケティングを駆使し、次の販売につなげられるよう、お客様との再エンゲージメントを図ってきたのです。販売後のタッチポイントは、ハードウェアに何か問題が起きた際のサービス面が中心となっていましたが、サブスクリプションモデルを導入することにより、今では、最低でも毎月または四半期に一度、請求書を送信する段階で、お客様とのタッチポイントを設けています。また、サブスクリプションの期間を通じてサービス(および価値)をいつでも提供できるようにしました. 。これには、新機能、プロダクトの改善、プランをアップグレードする際の割引提供などが含まれ、これらはすべて、お客様との継続的な関係の維持に役立ちます。そして、これらがもたらす価値が高ければ高いほど、顧客ロイヤルティを高め、サブスクリプション期間の終了時に更新する確率を高めます。お客様からのフィードバックを受けて、同社がよりよい製品を開発すれば、さらに顧客ロイヤルティが高まります。つまるところ、お客様との強い関係を構築することが最も重要です。

学びと成長

社内コミュニケーションは、このローンチを成功に導く鍵でした。それは、 既存の統合されたビジネスモデルにサブスクリプションモデルを追加 rには、全社が一丸となる必要があります。もちろん、その取り組みには上層部のサポートが不可欠です。リーダーシップによって変革のビジョンが明確に示されることで、組織内の分断を解消することができます。

繰り返し申し上げてきましたが、サブスクリプションサービスの立ち上げは間違いなく長期的な計画を必要とするものであり、スイッチを入れたら一夜にしてビジネスが変わるというようなものではありません。この点において、多くの企業がAcer社のアプローチから学ぶことができるはずです。「 “ローンチ段階にある他社に私が一番アドバイスしたいのは、製品を早く提供し、フィードバックを早く得られるほど、状況がよくなるということです」と、Jappe氏は言います。「当社のときは、今よりずっと慎重で、すべてを完璧に準備したいと考えていました(実際、フォーカスグループによる会議をたくさん行いました)。今では、どの段階でなら予測されるリスクを取れるかがわかっているので、前よりずっと大胆に行動しています。つまり、アイデアがうまくいくかどうか、まずはやってみましょう、というスタンスで取り組んでいます。これは問題解決に本当に役立つアプローチです」

 

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